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『あふりかくじらの自由時間』【80】
発行日時: 2006/3/2 ★.+・゜゜・。☆ ○o.+・゜゜・。○o.++++++++++++++
『あふりかくじらの自由時間』
【80】
http://africanwhale.net/
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〜今回は長いので、【80】【81】の上・下巻で書きます〜
ディープなアフリカに、みぞおちをどんっと一突きされたような感覚。
それでも、急激な苦しさとか痛みとはかけ離れた、なにかこう確実で
重さのあるもの。わたしの胃袋にフィットするもの。
それがわたしにとって、この村を訪れた土曜日の印象である。
★ ★
いかがお過ごしでしょうか。もう、3月なのですね。
こちらは、まだ雨季から抜け出しません。
昼間は日差しが強くて、夕方になると激しい局地的な雨が降ります。
☆ ○o.+・゜○o..+・。☆
もうすでにいろんなひとにこの「みぞおちどんっ」エクスペリエンスに
ついてたっぷり語っているのだが、ともかくわたしは例のハラレを出たい病
如月編ということで、日本から某大学教授が調査にこられるのをこれ幸いに、
今度はある村へのフィールド調査をアレンジしたのである。
★ ★
場所は、ジンバブエ共和国のマショナランドイースト州。
チコンバChikombaという地区に、マササMasasaという村がある。
ここで、ズンデラマンボを見る目的である。ずんでらまんぼ。
★ ★
ご存知かもしれないが、Zunde Ra Mamboは、農村社会の組織原理のこと。
首長の耕作地に対し、村人たちが労働奉仕を行い、この収穫の貯蔵から
旱魃などの緊急時や儀礼のときの農作物が村に再分配されるシステムである。
現在でもこのシステムは全国で機能しており、それぞれ様々な特徴がある。
このマササという村では、先代のチーフが村の孤児のケアに当てるという
コミュニティシステムを作っていた。
今回の某教授の調査は、ずいぶん前に書かれた調査報告書にある
この村のズンデラマンボが、現在はどれくらい活用されているか、
実際に現地を見て、さらに村人たちにインタビュー調査をすると
いうものだった。
★ ★
教授が来ジンする一週間程度前に、わたしはまず、この村のシステムが
いまでも存在するのかどうかを確認するために、チコンバ地区の地方当局に
電話をかけ、この村について質問した。
この村ではいまでもこの孤児のケアを継続していることがわかり、
わたしはさっそくこの村の訪問目的と予定を伝え、コミュニティの代表に
アポイントメントを取ってもらった。
これはあくまでも学術調査で、大学の教授がこのズンデラマンボについて
調査したいということ、さらに村人たちにインタビューをしたいという
ことを電話で何度か念を押して伝えた。
日本政府からお金をもらえるのではないかと誤解されるのを防ぐためだった。
相手は快く受け入れてくれた。
これが、そもそもの始まりだった。
★ ★
日本からやってきた教授と、わたし。それからアルバイトでアシスタントを
してくれるジンバブエ人女子大生とドライバー。
我々は、マシンゴ方面に向け二時間ほど幹線道路を走り、Chivhuという町で
地方当局の担当者と落ち合ったあと、ダストロードをひたすら東へ。
明るい日差しと、きれいな緑。(比較的水が豊かなのだ)
ときおり、村や牛が見えるなか、我々は目的地へ到着した。
村は、ものすごい騒ぎになっていた。
子どもたちが珍しがって集まってくるのは予想していたが、そんな予想以上の
数百人という子どもたちや村人が、押し合い圧し合いしながら
外国人の到着を、目を輝かせながら待っていたのである。
あちこちから、ハーモニーが聞こえ、もはやお祭り騒ぎだった。
村では、盛大な歓迎セレモニーが準備されていたのだ。
そんななか、我々は到着したのである。
★ ★
何百人という(実際何人だかわからないくらいたくさん)人々とともに
わたしたちを迎えたのが、お偉いさん方。
チーフから、ヘッドマン(政府組織に組み込まれている)、学校の校長先生や
地方当局の役員など、VIP揃い。
つまり、我々の来訪は、単なるインタビュー調査などではなく、
村をあげての一大お祭りと化していたのである。
★ ★
コミュニティの中心部に集まった人々。
子どもたち、子どもたち。
何百人という子どもたちが集まり、その後ろに女性を中心とした大人がいる。
そして、珍しそうに外国人の来訪を見つめていた。
やがて、どこかから手拍子とともに歌が始まった。
ノリのいいリズムとともに、ナンバーワン、ナンバーワンとうたっている。
とても伸びやかな声で、大勢の子どもたちが身体を揺らしながら、
自然にハーモニーを奏でているのである。
★ ★
ズンデラマンボの実り、つまり、村人が伝統的に労働奉仕をするという
チーフの畑は、その群集からあるいて数百メートルのところにあった。
まずは歌声に背を向け、いつの間にか膨れ上がって30人近くの人数となった
われわれ「調査団」は、チーフのメイズ(とうもろこし)畑にやってきた。
そこは、農地の単位で言うとどれくらいなのかわからないけれど、
せいぜい田んぼ一反ぶんくらいの畑であった。
そして、果たしてそこで我々が見たものは、貧弱なメイズたちの姿であった。
これでは収穫が望めそうにない。
どれも、背丈が一メートル足らずなのである。
旱魃のせいというが、そこまで少ない降雨量ではない。
政府から、肥料が来ていない。担当者は大きな声で言う。
(政府は、このような伝統的システムを奨励しているが、現在の経済状況
悪化から、肥料などの輸入がままならない)
ズンデラマンボの実りを孤児のケアにあてるというシステムは健在だが、
肝心の畑がこのような状態であったら、大したものは望めない。
★ ★
すると、担当者は我々を別の畑に連れて行った。
バランシング・ロックと呼ばれる、雪だるまのように重なった
大きな岩の塊の間を縫い、たどりついた畑。
そこは、スウェーデンの協同組合が支援している菜園プロジェクトで、
畑の脇にちいさな井戸があり、それなりに青々と実っていた。
複数の種類の野菜があり、リスク分散させているものであった。
担当の女性は、また大きな声で語った。
わたしのお連れした教授に向かって、このプロジェクトのすばらしさを。
そして、彼女たちの「貧しさ」を。
★ ★
村の中心部に戻ると、建物の中には展示物があった。
スウェーデンのプロジェクトの野菜や、プロジェクトの生産物の一部で
あるらしいたくさんの種類の加工食品。女性たちの作った手芸品。
ひとつひとつを手にとり、教授の顔の前で見せながら、耳が痛くなるほど
大きな声と身振り手振りで語った。(ショナ語なので通じない)
プロジェクトのすばらしさを。彼女たちの努力を。
どれだけ、お金が無いかを。
あまりの熱心さに、わたしは圧倒されてしまった。
その熱心さはしかし、たいした意味を持たないことなどちっとも気づかず、
彼女は続けた。熱心に話せば通じるのだ、という思いがあふれている。
しかし、彼女の話している相手は、教授であり学者であり、
お金を出してくれる政府の人間ではない。
これは単なる調査だった。
そして、彼はズンデラマンボについて調べたかったのである。
知りたいのは、スウェーデンのプロジェクトではないのである。
★ ★
そして、我々の歓迎の儀式が始まった。
長い長い式典だった。
〜【81】に続きます〜
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『あふりかくじらの自由時間』【80】2006年3月2日発行
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*長いな。この5年間で、二つに分けるのは初めてか。
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