物書きアフリカ研究者。南部アフリカのジンバブエ共和国に棲むくじら。アフリカのこと、日々のこと、いま考えることを手紙のように綴っていきます。南アフリカ生まれの作家ベッシー・ヘッドのこともときおり書いていきます。
- 最新号:2008-04-21
- 発行周期:月2回程度
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- 創刊日:2003-11-12
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『あふりかくじらの自由時間』【75】
発行日: 2005/11/27 ★.+・゜゜・。☆ ○o.+・゜゜・。○o.++++++++++++++
『あふりかくじらの自由時間』
【75】
http://africanwhale.net/index.htm
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ある日、真夜中に警察が家にやってきて言う。
お前の家は違法建築だから、自分ですべて撤去しろ。
さもなくば強制的に撤去する。
こうして、タウンシップに暮らす何十万という人々が家を失った。
今年の5月から7月にかけて行われたジンバブエ政府の「クリーンアップ作戦」
別名"Operation Restore Order/Murambatsvina"である。
ジンバブエ中の主な都市部のスラムや商業エリアにかけて、「違法」とされる
住居やインフォーマルセクターの店舗が破壊された。
人々は家と職を失い、ファームに強制移住するか、田舎に帰れと言われた。
都市に暮らす多くの者に、もう頼れる田舎などない。
ファームに、屋根などない。
自分の家は、破壊されている。
★ ★
いかがお過ごしでしょうか。
初めてチトゥンギザ、そしてムバレに行きました。
大切な話なので、長めですが見たこと思ったことを書きます。
☆ ○o.+・゜○o..+・。☆
チトゥンギザはハラレから約25キロほど離れたところにある町で、
他の都市部と同じく作戦の被害にあったところだ。
作戦から半年も経った現在でも、ジンバブエでは多くのひとが
いまだに屋根のない収容先のファームに寝起きしている。
霜が降りるような冬は終わったが、今度はバケツをひっくり返した
ように激しい雨の降る雨季がやってきた。
ドナー諸国は、外に暮らしている人々のために緊急支援のテントを
供与しようとしたが、政府はかたくなに拒んだ。
「テントなど、まるでスーダンの難民キャンプみたいになってしまう」
「住宅再建計画<ガリカイ作戦>を遂行中である」
テントは難民キャンプみたいだから、人々が外で凍えていようが関係ない。
(作戦開始時は冬だった)
住宅再建計画を先に実施すれば、多くの人は病気になって
死んだりしなかった。
しかもその計画も、政府の予算は到底足りずにまったく現実的な
ものではない。
テントだ。いや、テントなどいらん。
そういって、ドナーと政府の間で問題はどんどん無意味に政治化した。
★ ★
日本政府は、他のドナー諸国と同様に、国連機関を通じて食糧と毛布を
供与することにした。テントの支援は拒否されたからだ。
(しかし、いままでかたくなにテントや一時的な簡易住宅の支援を
拒んできた政府が、先週は「テントの支援をしたけりゃしてもいいよ」
という態度でOKを出した)
外に寝ているひとなどおらず、食糧不足もない。
これが政府の立場である。しかし、実際は何十万の人が家もなく暮らし、
土地改革の大きな失敗から農業生産は壊滅的で、数百万のひとが
食糧不足に直面するのは間違いない。
★ ★
国連を通じて各ドナーは食糧や毛布などの支援をおこなっているが、
政府はきわめて神経質である。緊急物資を配布するさいには、
よそ者を入れてはならず(人道支援が必要な状態はないことに
なっているからだ)、支援は登録制にして教会やモスクなど
壁に囲まれて外から見えないところで順次行われている。
しかし、支援は遅々として進まない。
あまりにも政治化しすぎている。
★ ★
●チトゥンギザ●
チトゥンギザでは、道路に沿って建っていた家々が壊され、建築資材が
いまだに散乱しているところも見受けられた。
道路脇の空いたスペースには、家庭菜園を作っているひとが多い。
この400%とも言われるハイパーインフレーションの昨今、食料品を
買うことが日々ものすごい勢いできつくなっていくのである。
一度解体した家の資材を使って、住宅を再建している風景に多く出くわす。
これもしかし、また違法として撤去されるケースも多々あるという。
まさにいたちごっこなのである。
しかし、チトゥンギザは建築ラッシュだ。
建築資材を運ぶ人、加工する音。
その間に、木箱をひっくり返してその上にトマトやマンゴなどを
並べて売る女たちが座っている。
皆、こんな状況でも生活をしているのである。
★ ★
チトゥンギザには深刻な下水の問題がある。
下水処理場が壊れ、それを直す資金がチトゥンギザ市に不足しており、
処理しきれなくなった下水はあふれ、道の脇に汚水が流れる。
ごみ収集も機能しておらず、道端にごみはあふれ、悪臭が立ち込める。
(先日、チトゥンギザ市の下水のために政府が資金を出すと
報道されたが、真偽のほどは定かではない)
クリーンアップで壊された住宅の資材が散乱しており、子どもが
裸足で駆け回っている。
そこへ、まるでバケツをひっくり返したような、それはそれは
激しい雨が降る。水はけの悪い道は、まるで川のようになる。
下水と雨が混じり、街を覆いつくすのである。
衛生状態はきわめて悪い。
★ ★
●ハラレ郊外のムバレ、タファラ、マブク●
チトゥンギザよりもずっと人口密度が高いハラレのタウンシップの
ムバレは、つい最近またクリーンアップ作戦が行われた
ということで、まだ、あまりにも生々しい風景が広がっていた。
建物が密集している地域なのに、一区画ごとにすっぽりと
なくなっているのである。そして、そこにはブロック片や何やらが
散乱し、そこへ家具などが雨ざらしになっている。
雨が降ると同じように水が溢れ出し、とても歩けたものではない。
そこで、寝ているひとがいるのである。
タファラ、マブクも似たような状況であった。
道がやたら広く感じるのは、そこにあるべき家々がなくなっているから。
そして、Kovoと呼ばれる硬いほうれん草のような野菜が植えられている。
その脇に、コンクリート片が散らばっている。
多くの人々は、究極のガソリン不足で来ないバスを待っていたり
ものを売ったりしながら(警察に逮捕されてしまうので、
すぐ逃げられるようにものを手に持った状態、もしくはどこかに
隠した状態で売っている)道に出てくる。
タウンシップは、とてもひとが多い。
★ ★
貧しい者はますます貧しくなる政治の仕組み。
米英はジンバブエ政府に対して高圧的な態度をとり、ジンバブエ政府は
ますますかたくなな態度をとる。
★ ★
電気も水道もないであろう地域のなかで、人々は生活していた。
薄汚れたペンキの壁、ひしゃげた窓枠やちょうつがいがはずれて
使い物にならなくなったドア。
囲いの外にはささやかな家庭菜園を作り、野菜を育てる。
だらんと伸びた汚いシャツを着た子どもたちが、満面の笑顔で駆けずり回る。
女たちは、頭の上に大きな荷物を載せ、腰にはくたびれた布を巻いている。
タウンシップの昼の顔。
★ ★
こんな状況を見て、この人たちの暮らしを見てなぜか懐かしいと
思ったわたしは、たぶん心のどこかにこのようなアフリカがあって、
それを確かめたかったのだろうと思う。
思わず、車の中でことばをなくして黙り込んでいた。
ここに来るべくしてやってきたと思った。
研究者として、個人として、いままでかかわってきたなかで、
いつしかできていた故郷のようなイメージ。
自分がその家に暮らしていたような錯覚を何度も何度も覚える。
わたしはそれを再訪し、再確認したのだと思う。
学ぶべきことはいくらでもある。
ほんとうに、いくらだってあるのである。
☆ ○o.+・゜○o..+・。☆
今日、もう一度訪れ、少し写真を撮りました。
メインのウェブサイトのほうに、写真を掲載しています。
ご覧ください。 http://africanwhale.net/index.htm
読んでくださり、ありがとう。
あふりかくじら
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『あふりかくじらの自由時間』【75】2005年11月27日発行
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*車から撮ったので写真はぶれているけれど、様子はわかります。
チトゥンギザとムバレだけです。
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