『あふりかくじらの自由時間』【51】
発行日時: 2004/8/17 ★.+・゜゜・。☆ ○o.+・゜゜・。○o.++++++++++++++
『あふりかくじらの自由時間』
【51】
http://africanwhale.hp.infoseek.co.jp/
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月並みな表現だが、アテネで繰り広げられているドラマには感動する。
まず、開会式の美しさと色鮮やかには目を奪われてしまった。
ギリシアの歴史をひとつずつたどっていく演出には、文字通り目が釘付けに
なってしまった。
なによりも、あれだけたくさんの国から多くの選手たちが大集合をするという
そのコンセプト自体、とても心動かされるものがある。
オリンピック出場資格停止を受けていたアフガニスタンからも女性が出場し、
南アフリカはアパルトヘイト後十年という節目の年を迎えている。
もちろんアパルトヘイト時は出場できなかった。
そして、イラクもまた出場している。
★ ★
スポーツは平和の象徴だといわれるけれども、いまこの瞬間にもオリンピック
どころではないひとたちがたくさんいるのだ。
死の恐怖におびえているひとたちの存在を忘れて良いはずはない。
開会式を見ていると、まず最初にどうしても連想してしまうのは、経済的に
豊かな国と決してそうではない国の差であろう。
オリンピックに選手を送り出すというのは並々ならぬ努力と経済力の成果
なのかもしれない。
それから、政治的な阻害要因もあってはならない。
(もちろん、もっと色んな要因が重なっているのではあろうが)
潜在的な「金メダリスト」、参加できないスポーツ選手って、どれくらい
いるのだろうかと思う。
それでもオリンピックを開催する意義とは何だろう。
スポーツ選手のすばらしい活躍を見ていると、そのうつくしさに圧倒されるのは
何故なのだろうか。
★ ★
ギリシアに、世界中からやってきたひとびとが同じ感動を分かち合っている。
そのような中で、日本は五十九回目の終戦記念日を迎えた。
★ ★
1945年8月6日午前8時15分、1945年8月9日午前11時02分、それから8月15日。
この数字をわたしは忘れることがないだろう。
わたしが通った二つ目の小学校は、異様なくらい戦争教育が熱心だった。
ヒロシマ、ナガサキを繰り返し教えられ、音楽の授業では戦争後の
哀しみの歌や平和を祈る歌を習い、学習発表会ではいつも戦争をテーマにした
劇を演じ、夏休みの登校日は8月6日で、修学旅行は全校生徒が折った千羽鶴を
必ず広島へ持っていった。
もちろん、平和記念館に行き、被爆者を呼んで話を聴いた。
新聞に載っている顔写真という顔写真を切り抜いて大きな模造紙にはり、
それをつなぎ合わせて学校の廊下一面に貼った。
「二十万人の顔」というプロジェクトだ。
小学生のそんな活動は、新聞記事にもなった。
二十万とは、原爆で亡くなった人の数だ。
★ ★
世界中がヒロシマ・ナガサキを考え、自分と同じように死者を悼み、
戦争がなくなることを願っているのだと信じてうたがわなかった。
だが、決してそうではないことを知ったのは、11歳のころ。
家族でアメリカのアラスカ州アンカレジに暮らし始めたころだった。
英語なんてまったくできない普通の小学生だったけれど、教育方法の歴然とした
違いだけはちゃんと認識できた。
日本の教科書にほんの小さく載っているだけだった「真珠湾攻撃」は、
むしろ原爆よりも大きく載せられていた。
先生が何を言っているのかわからなかったけど、クラスメートがふざけて
わたしを睨んだ。日本軍の侵攻のことを言っているのだと、直感した。
社会科の授業では、日本軍がアリューシャン列島に侵攻して、「万歳」を
繰り返す映像を見せた。アメリカ人の誰かが、「ジャパニーズはstupidだ」と
つぶやいた。(日本人生徒もいたため、教師がたしなめたが)
子供心に刻まれた、あまりにも強烈な太平洋や国境の認識だった。
日本人が江戸時代のような暮らしをしていると、本気で信じている
子どものほうが、むしろ多かったのではないだろうか。
戦争認識が同じであるはずがない。
★ ★
「第二次世界大戦」といえば、アメリカでは「パールハーバー」で、
ヨーロッパでは「ドイツ」だった。
わたしが子どものころに教わったヒロシマ・ナガサキの日付を知っている
ひとなんて、まずいなかった。
★ ★
帰国子女だからラクに英語をしゃべれるでしょう、と言われたことがある
「帰国子女」は多いだろう。
だが、それはあまりにも無神経な発言だ。
わたしが覚えた英語は、サバイバルツールだ。
日本が理解されずにいる。
わたし自身も理解されずに、子ども社会の中で子ども扱いされ続けるという、
悔しさをばねに獲得してきたものなのだ。
そうでなければ、日本は「野蛮な国」のままで、原爆は「制裁」で、日本人は
「何も知らない遅れた民族」なのだ、という偏見の中で、くたばってしまう
だけなのだ。
★ ★
アテネで巻き起こされる感動は、たくさんの国が同じ舞台に参加していて、
かつ自分の国を代表する選手たちがとてもうつくしく見え、国が誇らしく思える
からなのかもしれない。
少しずつ、世界が前に進んでいくことを願う。
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読んでくださりありがとう。
あふりかくじら
追伸:
前回お送りした号で、ヘッダ部分が崩れていたものがございます。
大変失礼いたしました。
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『あふりかくじらの自由時間』【51】2004年 8月17日発行
【発行者】 あふりかくじら
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