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『あふりかくじらの自由時間』【34】
発行日時: 2003/11/23○o.・゜゜・。★・。.・゜゜・○o.・..・゜゜・。★
あふりかくじらの
じゆうじかん
【34】
○o.・..・゜゜・。★○o.・゜゜・。○o.・゜゜・。★
いかがお過ごしでしょう。お元気でしょうか。
クリスマスソングがちらほら聴こえてくるようになりました。
これから少しずつ街が飾られていって、にぎやかになっていくのでしょう。
いまわたしの目の前では、明日の結婚二次会パーティにお呼ばれしている
わたしのために、母が天然石アクセサリーをつくってくれています。
平和な土曜日の夜かもしれません。世の中三連休みたいだし。
でもね、すごく気になることがあるんです。
ときに、あなたは何新聞を読んでいますか。
うちはもっぱら朝日新聞なのですが、このところずっと考えることがあります。
(また報道のことを考えているんだけど)
○o.゜゜・。★
イラク中部で、警察署を狙った連続自爆テロがあった様子。
15人くらい亡くなったそうである。
その一方で、このところテロの標的はトルコに移りつつある。
連日そんなニュースが流れてくるなんて、異常な事態であるのにもかかわらず、
その類のニュースが耳に慣れてきてしまうなんて空恐ろしい。
★ ★
パレスチナ・ホテル。
バグダッド中心部にあるその18階建ての建物が、ロケット弾による攻撃を
受けたという。
ホテルには、米英暫定占領当局や各国のメディアが入っているとのことである。
ロバが引く荷車に設置されたロケット発射装置の写真が、今日の朝刊にあった。
うっかりすると何かドーナツでも売ってそうな、カラフルな色に塗られた荷台に、
アラビア語で何か書いてある。
「我々はあなたたちにイラクが自由になるまで侵略者とともに働かないよう求める」
(朝日新聞より)という意味だそうだ。この翻訳で正しいのかどうかはともかく。
★ ★
記事の要約の冒頭には、いつもそれを書いた記者のいる街の名前と、
記者自身の名前がある。
このところ毎日のように、わたしの知るその名前を見ることになった。
朝日新聞のある記者の方である。
これをお読みの方で、この方を直接ご存知のひともいるだろう。
★ ★
最初、『あふりかくじらの自由時間』というタイトルでメールマガジンを
出したとき、わたしはエディンバラ大学のアフリカ研究センターにいた。
彼は、わたしのメールマガジンを読んでくださっていたひとりだ。
学生時代は、ANCやネルソン・マンデラに心酔して、アパルトヘイト下の
南アフリカ共和国の黒人居住区を訪ねたりされたとのことである。
そして、わたしのメールマガジンやベッシー・ヘッドのことについて
とても興味を持ってくださった。
エディンバラから帰国して年も明けたとき、ぜひお話を直接きかせて
いただきたい、とのお言葉をいただいて初めてお会いした。
(忘れもしない。あの日、内緒だけれど、わたしは何となく美容院にいって
気合を入れたのだ。実際会ったとき、がっかりしてもらっても困るので。
単に気持ちの問題だけれど)
彼はもちろん、わたしよりそれなりに年上なのだが、すごく若々しい感じがした。
熱い思いをもっているひとだった。
それからちょっと、会社に勤めているひと独特のにおいがした。
アフリカへの思い、南アフリカ共和国というところのアパルトヘイトについて、
ベッシー・ヘッドについて、それからニッポンジンとしてどのようにアフリカに
かかわりあっていくかについて、初対面にもかかわらずたくさんの話をした。
わたしは自分の語り口があまりに熱っぽくて迫力があるのを知っているから、
初対面のひとがひいてしまわないよう、遠慮してしまうところがある。
彼は、そのことも指摘した上で、わたしがテーブルの上に提示したひとつひとつの
事柄について順序良く、それから熱っぽく考えを述べてくれた。
(新聞記者に向いてる、とも言われたっけ。自分ではそうは思わないけど
それは何故だかうれしかった)
★ ★
あのとき彼は、報道という視点からいろんなことを教えてくれた。
わたしはといえば、日本でメディアを通して伝えられる「アフリカ」像の偏りとか、
ネガティブなイメージみたいなものについて単純に批判的だった。
悲惨さ、話題性、消費者が求めているイメージ、といったもの以外にも、
報道する側においては緊急性などの面も含めて、書かねばならないトピックが
あるのだ。
(もっとも、最近ではここ日本でも、もっとアフリカを身近に感じてもらう
というような活動が多くなされてきているが)
わたしは、どちらかというと研究者よりのものの見方をしているし、
彼のジャーナリストっぽい意見は新鮮だった。
紙面上でアフリカが大きく取り上げられることはまだまだ少なく、何らかの事件が
おきない限りは、その機会を得ることは難しいだろう。
そういって、その後彼はナイロビ支局に行き、それからリベリアで戦争がおきた
今年7月、モンロビアにいて、記事を書いた。
★ ★
いま、彼がバクダッドにいるということは、毎日誰かが死んだり怪我をしたりする
記事からわかる。
パレスチナ・ホテルは、おそらく彼も宿泊していたことだろう。
攻撃を受けたのは、ホテルの8階、15階、16階とのこと。
記者の部屋は11階だという。NGO関係者などもいるそうだ。
イラクでは、いつ誰が死ぬかもわからない状況におかれているひとが
たくさんいるみたいだ。
メディアを通して知ることができる世界はほんの一部だけれど、
死が隣り合わせにある状況を、どうして想像することができるだろう。
記者って、どういう気持ちでそこにいるのだろう。
危険を承知で。
★ ★
彼は、なかなかアフリカの記事に紙面をさいてもらえずに苦労していた
あの日から、ずいぶん変わっているんじゃないかと思う。
会社で働いているにおいみたいなものも、消えてしまっているのでは
ないだろうか。
その名前の記された信じがたい記事を読みながら、なんとなくそう思った。
★ ★
今のわたしにできることといえば、ひたすら無事を祈るばかり。
彼だけでなく、誰であれ。
それから、自分にできるのはこうして誰かに伝えていくことのみなのかもしれない。
○o.゜゜・。★
すっかり深夜になってしまいました。
自分の日常に戻ってみると、明日は(すでに今日ですが)、
誰かのおめでたい日なのです。
一方では哀しいことがたくさんあるのですが、それも明日はすこし
心の中に秘めておいて、やっぱり彼らをこころから祝福しなくてはと思うのです。
目の前にある幸福や平和も、とても大切なものなのだから、ね。
読んでくださりありがとう。
あふりかくじら
○o.・゜゜・。○o.・゜゜・。○o.・゜゜・。★
あふりかくじらへのメール : africanwhale@mail.goo.ne.jp
あふりかくじらの自由時間 :http://africanwhale.hp.infoseek.co.jp/
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