集英社新書「賭けに勝つ人 嵌(はま)る人」の著者・松井政就のコラム。賭け、スポーツ、遊びなど取材を通して感じたことをお届けします。
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Vol.209 絶句した理由 〜ペットショップにて〜 『よく遊びよく賭けろ』
発行日: 2007/10/17
Vol.209 絶句した理由 〜ペットショップにて〜
亀田問題について何か書いてくれと依頼が来たが、それについては他にも幾らでも書いている人がいるので、今日は他の話。
先日、ペットショップにいたとき、50歳くらいのオバサンがチワワを飼おうとして、20歳くらいの店員と何事かを交渉をしていた。すると「そんなこと、出来ません!」という店員の声が聞こえたので、耳を澄ませてみた。
オバサン 「だから、もし飼えなくなったとき、ここに持ってきてもどうして引き取ってくれないの?」
店員 「ペットは生き物なんですから、そんな安易な気持ちで買われては困るんです」
「じゃあ、嫌になったら道ばたに捨てろというんですか」
「そんなこと言ってません。ペットを飼うなら、最後まで責任を持って飼ってあげてくださいと言ってるんです」
「でも、どうしても飼えなくなることがあるでしょ? 保健所は引き取ってくれるって言うじゃないですか」
「あのですね、保健所が引き取るという意味は殺して処分するということなんですよ」
「それのどこがいけないっていうの?」
「どこがって・・・(店員しばらく絶句)。 あのですね、ペットは生き物なんですよ! とにかく、そういう無責任な方にはお売りできません!」
押し問答がしばらく続いていたが、若い女性店員はどえらい客を相手に堂々と渡り合い、断固として売らなかった。
またたびを買いながら、ふと、店員が絶句した理由を考えてみた。若い彼女だけでなく、あんなことを言われれば大抵の人は言葉に詰まる。それは、日常的でない概念を突然ぶつけられたからだ。
「生き物を殺してなぜ悪いのか」 それを真顔で問われて即座に正解を出せる人間はいないだろう。しかし、そんなことに正答を与える必要などない。そういうことを言い出した本人が自力で気づくしかない。
話を戻すと、オバサンの問いには一切答えず、店員はチワワを売らなかった。
それで良いのだ。
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