Vol.177 原作と全く違うドラマに愕然 〜松本清張ならどう言うか〜 松井政就の『よく遊びよく賭けろ』
発行日時: 2007/3/13
Vol.177 原作と全く違うドラマに愕然 〜松本清張ならどう言うか〜
テレビ朝日系で放映されていた『わるいやつら』が終了した。
主演に米倉涼子を迎えた松本清張作品シリーズ3作目ということであり、第1話から見た。しかし、内容的に大きな疑問符がついた。
米倉涼子をはじめ、俳優の人たちはよく演じたと思うし、彼らには責任はない。問題は、内容が原作とは似ても似つかないことだ。
むろん、ドラマや映画では原作とかけ離れた内容のものは数多くあるし、だからといって作品の価値が下がるわけでもない。ドラマや映画として完成度が高ければそれはそれで一つの確立された作品といえる。
それでも今回の『わるいやつら』に関しては疑問を感じる。それは!)「松本清張作品」というのを売りにして放送していたのに原作とあまりにも主題が違う !)話の結末そのものが原作と異なる !)犯行裏付けに関する場面が現実にはあり得ない脚本となっている という3点が挙げられる。
原作を読んでいる人なら!)と!)はすぐに気づいただろう。主人公の医師が積み重ねた犯行とその隠蔽工作が、実は愛人によって当初から裏切られて(=嵌められていた)ということが最後にわかる。しかも一連の出来事は親友と思いこんでいた弁護士の手のひらの上で踊らされていたという憤りが、護送車から見たある光景でこみ上げてくる。 騙した者が栄え、騙された者が網走に送られるというコントラスト。この小説の象徴的シーンが描かれていなかった。
そして!)については、死亡した愛人の夫から劇薬が検出されているのに、その事についてのくだりが全てカットされ「不起訴」とされた脚本だ。現実の事件ではあり得ない設定だ。 いくらドラマは作り物だといっても、法律や捜査に関する事実まで曲げてしまうのはどうか。
松本清張ならどう言うだろうか。
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