松井政就の『賭け遊びコラム』 空白の一日
発行日時: 2004/7/3
Vol.36 空白の一日
今年も無事、ドラフトが終わった。
野球じゃない。POGのドラフトだ。
ぼくは今年のドラフトには、ある種の賭けるものがあった。このPOGに出るために、わざわざマカオから一旦戻ってきたほどの熱の入れようだ。それはぼくにとって1年ぶりのドラフトだったからだ。
去年、ぼくはドラフ会議当日も当日の、開始5分前に欠席になってしまった。なぜかというと、住んでいるマンションに警察がきたからだった。運の悪いことにぼくはマンションの理事長をやらされていて、警察と話をしなければならない羽目になったからだった。
街角では見慣れているはずの警官は、どうしてこう、自宅で見ると威圧感があるのか不思議だが、とにかく断れる状態ではなかったわけだ。
しかも警官が来た理由は「マンションから女の悲鳴が聞こえた」というものだった。すわ!殺人事件か!? それを誰かが通報したらしいのだった。 自分の住むマンションということを忘れ、ワクワクして待つこと数分。
ところが結果はタダの夫婦げんか。
「よかったですね、何でもなくて」とおまわりさん
『よくなんかないですよ。お陰でぼくは大損害です』
「は?」
『今日は大事な会議があったんです』
「はあ、それはどうも」
『どうもじゃないですよ! くだらん痴話喧嘩につき合わされて。ふざけてますよ!』
「でも、通報されましたんで」と、おまわりさんは困惑顔
時計をみると既に夜。ドラフトはとっくに終わっている時間だ。もう諦めるしかない。そしてぼくは諦めた。
しかし、それから約10ヶ月ほどたった今年の春、その事件のいまいましさを強烈に思い出さなければならないことになってしまったのだった。
何を隠そう、ぼくの昨年1位指名馬はキングカメハメハだったのだ。ウソではない。タニノギムレットでPOGを優勝してから、ぼくは1位から3位は全て松田国英厩舎と決めていた。しかも何と!、ぼくのいるPOGでは、キングカメハメハは2位で獲得されていたのだった。まさに憤懣やるかたない。 あのクソ喧嘩の夫婦のおかげでPOGの優勝がパーになっていたのだ。
今年こその意気込みで、中国取材を中途で切り上げ、一旦日本に帰ってきたぼく。もちろんドラフト参加のためである。前日からみっちり研究して、50頭ほどピックアップしていざドラフト会場へ。そしてぼくが1位指名した馬は、誰とも重ならずすんなり獲得できたのだった。
その名前をみてみな笑った。マンファスの牝馬。レースパイロット。キングカメハメハの妹だ。なんだか変な名前だし、キンカメの下ということで誰もが「走らない」と見て敬遠した。だが、マンファスにはサンデーサイレンスを付けたかったという関係者の話を信じての指名だった。しかもぼくは例によって1位から3位まで松田国英厩舎。
さあ今年こそ勝てるのか? それとももう一回、警察に来てもらった方がよかったか。
ちなみに例の喧嘩をした夫婦は、夫婦のダブル浮気で離婚し、どこかに引っ越していった。せめてぼくに空白の一日を招いた詫びを入れてから出て行ってほしかった。
それと、旦那の浮気相手がマンションに通ってきていたがモデル顔でかなり美人だった。一度くらい、ウチにもお茶を飲みにきてほしかった。
松井政就
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