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職場でトラブル!会社側も労働者側もいつ非常識な相手に遭遇するかわかりません。このメルマガでは具体例を取り上げ、法律上どのように解釈されるのかを解説します。小難しい条文を勉強しなくても、これを読めばOK
- 最新号:2005-11-09
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会社VS社員036(会社を解散し再雇用)
発行日: 2005/4/13 2005/04/13
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会 社 VS 社 員 訴えたら勝つのはどっちだ!? 第36号
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◆◆今回の訴え◆◆
「会社の解散による正当な解雇だ」
VS
「労働条件を引き下げることを目的とした偽装解散だ」
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労働者側も、会社側も、いついかなるときに非常識な相手に遭遇す
るかもしれません。
そんなとき、自分の身は自分で守るため、裁判で争うところまでは
いかないにしても、自分の正当性を訴えていく必要があります。
そのためには、法律上はどう解釈されるのか、その“境界線”を知
っておくことが大事!
小難しい条文をお勉強しなくても、これを読めば労働法の勘所がわ
かる、そんなメルマガです。
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◆◆事件の経緯◆◆
O社は、経営危機に陥っていました。
売上高は、
平成8年4月30日時点 6億9904万円
↓
平成9年4月30日時点 6億4998万円
↓
平成10年4月30日時点 6億2265万円
↓
平成11年4月30日時点 5億3973万円
↓
平成12年4月30日時点 4億3155万円
と、年々減少が続いています。
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また、O社の従業員の平均年齢は52.1歳であり、人件費も比較的高
額となっているため、売上高にしめる人件費の割合も、
平成8年4月30日時点 66%
↓
平成11年4月30日時点 80%
↓
平成12年4月30日時点 88%
と一貫して上昇しています。
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なお営業損益は、
平成8年4月30日時点 営業利益174万円
↓
平成9年4月30日時点 営業損失3530万円
↓
平成10年4月30日時点 営業損失5227万円
↓
平成11年4月30日時点 営業損失1億1066万円
↓
平成12年4月30日時点 営業損失1億1142万円
剰余金は、平成8年4月30日時点では4億1100万円あったものが、
平成12年12月30日時点では1億867万円まで減少しました。
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上記の通り、O社の経営が苦しくなっていること及びO社の経営者
が会社を手放したいと考えていることを知った同業を営むS社は、
数年分の決算報告書を入手して検討した結果、S社のノウハウをつ
ぎ込みリストラクチャリングを敢行すれば業績は回復できると見込
みました。
そして、平成12年10月31日、O社は全株式をS社に譲渡する契約を
締結し、O社はS社の100%子会社になりました。
この買収に伴い、O社の経営者は全員退任し、S社の取締役及び従
業員がO社の代表取締役及び取締役に就任しました。
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新経営陣は、財務内容等を調査し、O社のこれまでの経営上の問題
点を洗い出したところ、最大の問題は売上と比較して人件費が高い
水準にあることであり、思い切った人件費削減措置を講ずる必要が
あると結論付けました。
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平成12年11月1日、新経営陣は始業前の朝礼において、従業員に対し、
O社がS社に買収されたこと及び経営者が交代することを報告しま
した。
その際、O社の経営状態が悪化していて、従業員には今まで以上の
努力と会社に対する忠誠心が必要であることを自覚して欲しいとい
うことと、この方針に協力する者は残れば良いし、協力できない者
は去れば良いと言いました。
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また新経営陣は、11月1日以降、従業員を一人ひとり呼び出して面
談を行い、その席でO社が赤字であること、従業員の賃金体系を変
更する予定であること、社内に26の課を設けるので、正社員である
従業員はほとんど全員が課長になってもらうことを説明しました。
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さらに新経営陣は、11月16日の終業時刻後にO社の従業員全員を
集めて次のように述べ、また同内容の書面を事務所に掲示しました。
「O社は毎年1億円の赤字が発生しており、このままでは倒産は必
至ですから、赤字体質にある会社の再構築を図る必要があります。
またヒアリングの結果、従業員みなさんの最大の関心事は退職金を
支払ってもらえるかどうかであることがわかりました。そこで12
月15日までの予告期間を設けて従業員全員を解雇して、その後直ち
にS社において再雇用します。ただし、退職届を提出した方は正社
員として雇用しますが、提出しない方は嘱託あるいは契約社員とし
て雇用します。正社員の場合は管理職になってもらいます。今後の
勤務を円滑に行うため、11月30日までに態度を明らかにして下さ
い。」
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O社の労働組合は、S社に雇用された場合労働条件が大幅に悪化す
るとして強く反発し、組合員は退職届を提出せず、O社との雇用関
係を維持したまま就業する方針としました。
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O社は平成12年12月15日に臨時株主総会を開催し、O社の経営状態
が悪化し回復が困難であることに鑑み同社を解散すること、事業を
S社に譲渡すること等を決議しました。
なお、S社とO社との間で交わされた営業譲渡契約書には、次のよ
うに定められました。
「S社は、営業譲渡日以降はO社の従業員の雇用を引き継がない。
ただし、S社はO社の従業員のうち、平成12年11月30日までにS
社に対し再就職を希望した者については、新たに雇用する。」
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O社は、平成12年12月15日、同日までに退職届を提出しなかったA
さんら11名を、会社解散により就業規則の解雇事由に該当するとし
て解雇しました。
Aさんらは、S社を訴えることにしました。
双方の主張は以下のようになります。
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○S社側の主張
O社は、平成12年12月15日付けの会社解散を理由として、Aさんら
を解雇しました。解散は真実であって、この解雇は就業規則第56条
1項3号に規定している「やむを得ない業務上の都合があるとき」に
該当していますから、有効です。
また、Aさんらは、今件の解雇が労働基準法に違反した労働条件の
切り下げ及び労働組合を排除することを目的としたものであるから、
偽装解散であり、会社解散を理由とする解雇は無効であると出張し
ています。
しかしながら、偽装解散とは形式的に解散決議をしながらも、実質
的には同一の営業が継続される場合を言います。当社の場合は、役
員構成が異なりますし、会社財産や経理の混同は認められず、今件
の解散が偽装解散でなかったことは明らかです。
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○Aさんらの主張
O社は、会社の解散を理由に解雇を行いましたが、この解散は一方
的かつ脱法的な労働条件の切り下げ及び労働組合の解体、排除を目
的とするものであって、悪質な偽装解散ですから、無効です。その
ため、この解散を理由とする解雇も無効です。
子会社だけを単体で見れば、解散決議及び清算手続きを経て外見上
会社が消滅したと見られたとしても、子会社を現実的に管理支配し
ている親会社があり、解散した会社が実質上親会社の一部門と見ら
れるような場合で、子会社の解散後も親会社が実質的に同一の営業
を継続しているようなときは、会社解散が真実会社を廃止する意思
のもとになされたとは到底言えません。
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さて、この訴えの結末は…
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労働者側の勝ち:特定の従業員の排除が目的とみなされ無効
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◆◆趣 旨◆◆
■ 今件の解散は真実解散として行われた有効なもの
O社において、売上高に対する人件費の割合が88%にも達していた
うえ、続く数年間は多数の定年退職者が出て多額の退職金債務が発
生することが見込まれているという状況を考えると、解散当時のO
社の経営状態は全般的に見て悪化傾向にあり、近い将来倒産のおそ
れもあったということができる。
また、O社の新経営陣が詳しく財務内容を調査したうえで、O社の
営業が全てS社に譲渡されていることを考え合わせると、新経営陣
がO社の経営状態の悪化傾向に見切りをつけ、営業譲渡を通じてO
社の事業をS社の一事業とすることによって新たな事業展開を図る
という、一個の経営判断として実施されたものと位置づけることが
できる。
そうすると、この解散を偽装解散ということはできず、今件解散は
真実解散として行われた有効なものであることを否定することは困
難だと言える。
■ 解雇は客観的合理的な理由を欠く
解散は法人格の消滅を意味し、これによって会社は事業の主体とし
て法的に存在しなくなるので、会社解散を理由とする解雇は、就業
規則に定める「やむを得ない事業上の都合によるとき」に該当し、
有効なものと考えられる。
しかしながら、平成12年11月1日の朝礼や平成12年11月16日の
就業時刻後の話、営業譲渡の項目等から判断すると、O社の従業員
全員に退職届を提出させ、退職届を提出した者をS社が再雇用する
という形式をとることによって、賃金等の労働条件が元々のO社の
条件を相当程度下回る水準に改訂されることに異議のある従業員を
個別に排除することが目的であると言わざるを得ない。
このような目的で行われた解雇は、客観的合理的な理由を欠き、社
会通念上相当として是認できないことが明らかであるから、解雇権
の濫用として無効になる。
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◆◆参考判例◆◆
勝英自動車(大船自動車工業)事件
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【編集後記】
今年の桜は、あっという間に咲き、あっという間に散ってしまいそ
うですね。
うちの事務所は飯田橋から靖国神社へと向かう早稲田通りからちょ
っと入ったところにあるのですが、先週は平日でも花見客がずいぶ
ん多かったです。
私も日曜日に靖国神社へ行ったのですが・・・まあじっくり花見を
するには、あまり有名すぎるところではない方がいいようですね。
次号は4月27日(水)配信予定です。
ご意見、ご感想、その他取り上げて欲しい事例などございましたら、
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