会社 VS 社員 訴えたら勝つのはどっちか!? |
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2005/02/02
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会 社 VS 社 員 訴えたら勝つのはどっちだ!? 第32号
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このメルマガの読者が合計で3,190人になりました!
どんどん、みなさまの周りにも起こりそうな話題を取り上げて行き
たいと思います。
もし、まわりに興味のある方がいらっしゃれば、転送してくださる
ようお願いします。
◆◆今回の訴え◆◆
「私用メールで上司の誹謗中傷を繰り返すなんて、職務専念義務に
違反し、会社の信用を毀損する重大な懲戒行為だ」
VS
「私用メールくらい許容範囲内のだと思いますし、誹謗中傷と言っ
たって単に愚痴を言うのと同じレベルです。」
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労働者側も、会社側も、いついかなるときに非常識な相手に遭遇す
るかもしれません。
そんなとき、自分の身は自分で守るため、裁判で争うところまでは
いかないにしても、自分の正当性を訴えていく必要があります。
そのためには、法律上はどう解釈されるのか、その“境界線”を知
っておくことが大事!
小難しい条文をお勉強しなくても、これを読めば労働法の勘所がわ
かる、そんなメルマガです。
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◆◆事件の経緯◆◆
G社は、広告企画、ブランド構築等を主たる業務とする企業です。
Aさんは、昭和54年2月にそのG社に採用され、社長室にて秘書と
して勤務した後、平成1年11月からはインターナショナル・コーデ
ィネーターとして、主に秘書業務、英文による情報提供業務、翻訳
業務などに従事していました。
しかしG社は、平成13年6月19日、懲戒処分を決定するためである
として、Aさんに対し無期限の出勤停止を命じたのち、同年9月30
日付けで解雇する旨の意思表示をしました。
Aさんは、解雇権の濫用による解雇の無効を訴えました。
両者の言い分は以下の通りです。
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【G社の主張】
○私用メールにおける上司の誹謗中傷
Aさんは、私用メールを利用して、会社の内部のみならず、外部に
対しても会社の経営陣批判を繰り返し送信していたものであり、そ
の内容は、例えばCEOのことを「わがアホバカCEO」と評し、
あるいはCEOや他の幹部社員を呼び捨てにするなどのほか、これ
ら経営陣が会社を私物化して不公正で恣意的な人事を行い、Aさん
を故なく降格したとか、そのために経営陣は会社の「90%以上の従業
員から総スカン」となり「呆れられている」などというものでした。
○他の従業員の転職斡旋
Aさんは、競合会社であるK社に対し、「会社の経営がひどく、皆
転職を考えているような状況である」などと虚偽の事実を説明し、
会社の従業員を同社に転職させたい旨のメールを送信しました。
○事情聴取における不適切な態度
会社は、平成13年6月19日、事実関係を確認するため、社長室に
おいてAさんから事情を聴取しましたが、Aさんに全く反省は見ら
れず「何が悪い。あんたたちの方がよっぽどひどいことをやってい
るから、会社に対しての報復ですよ。」などと自らの行為を正当化
して、事実関係を素直に陳述する姿勢すら示さず、その後多数の従
業員の前でC局長を「あんた」等と呼び捨てにした上、その指示の
一切を無視し、公然と反抗する姿勢を示し続けました。
会社は、同年7月以降も数回にわたってAさんから事情を聴取しまし
たが、Aさんの態度は同様であり、私用メールの送信等の動機とし
て「あんた方が変なことをしているから報復としてやった」「何故
悪いのか」等と述べた程度で、その送信先等の肝心な質問に対して
は「忘れた」「答えられない」「都合の悪いことは忘れます」など
と回答を拒むとともに、会社の経営陣批判をしました。
○まとめ
以上の通り、Aさんが度重なる諸規則違反、誠実義務違反等の行為
を繰り返し、今後も上司の指示命令に服することが期待できないこ
とからやむを得ず解雇に踏み切ったのであり、いかなる瑕疵も存在
しないから、解雇権の濫用にはあたらず、有効です。
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【Aさんの主張】
○就業時間中の私用メールについて
労働者がその職務を行うについては、合理的に必要な範囲の注意力
が要求されているものであり、就業中にある程度の私的行為、例え
ば喫煙コーナーにおける喫煙、飲み物の購入、簡単な私的会話等は
許容されているのが現実であって、私的メールについても、労働契
約上の義務と何ら支障なく両立する行為の範囲に止まる限り、職務
専念義務には抵触しないというべきです。
会社は、従業員による就業時間中の私用メールをこれまで黙認して
きており、また私が私用メールの送受信のために業務に具体的な支
障を来たした事実はありませんから、私が就業時間内に私用メール
の送受信をしたからといって、職務専念義務違反であるとは言えま
せん。
○上司の誹謗中傷について
労働契約においては、当事者双方が相手の利益に配慮し、誠実に行
動する誠実・配慮の関係が要請されるのはもちろんですが、だから
といって私的な場面における上司に対する批判が許されないわけで
はありません。
本件で会社が誹謗中傷であると指摘するメールは、その表現からし
ても、会社の元社員である友人が送信先であることからしても、こ
れらが日常会話の延長としてなされた愚痴にすぎないことは明らか
です。
なお、メールは個人使用が前提となっており、その内容にはプライ
バシー性がありますから、会社がモニタリングを行って、私が私用
メールの中でたまたま上司を批判している事を発見したからといっ
て、これを解雇理由にするのは著しく相当性を欠きます。
○他の従業員の転職斡旋について
私がK社に紹介した会社の元社員Dさんは、私に転職の相談をした
時点で既に会社を退職することを決意しており、多方面にわたり自
分自身で情報収集をしていたらしく、私に対する相談内容も、転職
先として考えていたうちのK社がどのような会社であるかを知るた
めに話を聞ける人物を知らないかというものでした。
そのため、私はDさんに対し人事権も人事についての影響力も持た
ない営業部の従業員を紹介したに過ぎないし、結果としてDさんは
会社を辞めた後にK社には就職しなかったのですから、私の行為は
他の従業員の転職斡旋行為にはあたりません。
○事情聴取における不適切な態度について
会社の私に対する事情聴取は、事実上の解雇の下で、あたかも犯罪
行為でも行ったかのように私を追求するものでした。そのため、私
は私用メールの送信先については、相手方に迷惑をかけることを恐
れて回答しませんでしたが、その他についてはきちんと事情聴取に
応じたものであり、会社の主張するような上司への無礼な態度をと
ったことはありません。
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さて、この訴えの結末は…
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労働者側の勝ち:若干の背信性はあるが解雇されるほどではない
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◆◆趣 旨◆◆
■ 特に明確に禁止されていない限り、1日数回程度の私用メール
の送受信が職務専念義務違反とはならない。
労働者は、労働契約上の義務として就業時間中は職務に専念すべき
義務を負っているが、労働者といえでも個人として社会生活を送っ
ている以上、就業時間中に外部と連絡をとることが一切許されない
わけではなく、就業規則等に特段の定めがない限り、職務遂行の支
障とならず、使用者に過度の経済的負担をかけないなど社会通念上
相当と認められる限度で使用者のパソコン等を利用して私用メール
を送受信しても職務専念義務に違反するものではないと考えられる。
会社においては就業時間中の私用メールが明確には禁じられていな
かったうえ、就業時間中にAさんが送受信したメールは1日あたり
2通程度であり、それによってAさんが職務遂行に支障を来たした
とか会社に過度の経済的負担をかけたとは認められず、社会通念上
相当な範囲内にとどめるというべきであるから、Aさんの私用メー
ルの送受信行為自体をとらえてAさんが職務専念義務に違反したと
いうことはできない。
■ メールの内容は不適切である
Aさんが就業時間中に会社の取引先や競合会社の従業員を含む友人
らに送信した私用メールの中には、会社が行った人事についての不
満や「アホバカCEO」「気違いに刃物(権力)」など上司に対す
る誠実義務の観点からして不適切と言わざるをえず、就業規則の
「会社若しくは会社内個人の名誉信用を著しく毀損したとき」に該
当する。
■ 従業員を競合他社への転職の斡旋をする行為は背信行為に当た
るが、今件については背信性は低い
Aさんが、平成13年5月29日、会社と競合関係にあるK社の社員に
対し、当時会社の従業員であったDさんが同社への転職を希望して
いるとして同人を紹介する内容のメールを送信したこと、Aさんが
上記メールを送信したのは、既に会社を紹介して欲しい旨頼まれた
ためであること、Dさんはその後G社を退職し、K社以外の広告会
社に就職したことが認められる。
労働者が、他の従業員の競合他社への転職を斡旋する行為は、使用
者が必要とする従業員数を減少させて、その企業活動を妨げるとと
もに、競合他社の企業活動を支援するものであるから、使用者に対
する背信行為と評価すべきであり、Aさんの行為も広い意味ではそ
のような背信行為に該当する。
もっともAさんは、既にG社を退職することを決めていたDさんか
らの依頼に応じて競合他社に勤める知人を紹介したにとどまり、そ
れ以上の関与はしていないことや、結果としてDさんは退職後にK
社への就職はしなかったことを考慮すると、その背信性の程度は低
いというべきである。
■ 事件全体から考え合わせると、解雇処分に客観的合理性はない
私用メールによる上司への誹謗中傷行為及び他の従業員の転職斡旋
行為については、就業規則上の解雇事由に当たるが、後者について
は上記のとおり背信性の程度が低いこと、Aさんが解雇時まで約22
年間にわたりG社のもとで勤務し、その間特段の非違行為もなく、
むしろ良好な勤務実績を挙げてG社に貢献してきたことを併せ考慮
すると、本件解雇が客観的合理性及び社会的相当性を備えていると
は評価しがたい。
したがって、本件解雇は解雇権の濫用にあたり、無効である。
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◆◆参考判例◆◆
グレイワールドワイド事件
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▼やったあ!毎日5分でWEBクリエイターになれる!
http://www.mag2.com/m/0000113225.htm
ネットビジネスのための一口メモ。さらりと読める今日のヒントです。
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【編集後記】
みなさま、風邪をひいていませんか?
僕はかなり風邪には強いと自負していましたが、先週は強烈なのを
もらってしまったようで、2日ほど満足にモノも食べられず、散々な
目に会いました。
ちゃんと医者に行っていないのでわかりませんが、多分あれがイン
フルエンザってやつだと思います。
みなさんもお気をつけください。
次号は2月16日(水)配信予定です。
ご意見、ご感想、その他取り上げて欲しい事例などございましたら、
info@hmpartners.jpまでお寄せください。
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メールマガジン『会社VS社員 訴えたら勝つのはどっちだ!?』
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なお、このメールマガジンは、判例等をもとに著者が脚色して作成
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が、実際の事件には様々な要素が複雑に絡んできますので、類似の
案件に必ず同様の判断が下されるとは限りません。
【発行回数】隔週刊
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